《美しき金物商の妻》と《モナ・リザ》

《美しき金物商の妻》(1495‐99年頃)と《モナ・リザ》(1503‐19年頃)を比較することで、作者の、構図および技法の面での変遷が明らかになります :

  • 《ミラノ宮廷の貴婦人の肖像》、誤称《美しき金物商の妻》は、絵の鑑賞者の方を向いているように見えるが、実は、鑑賞者よりもさらに右にいる誰かを見つめている。
  • 一方、《モナ・リザ》も絵の鑑賞者の方を向いているが、鑑賞者をじっくり見るような眼差しは、鑑賞者とモデルとの距離感をさらに近づけている。 
  • 《ミラノ宮廷の貴婦人の肖像》、誤称《美しき金物商の妻》のX線分析は、肌の部分の絵の具の塗りを明示している。
  • 一方、《モナ・リザ》のX線分析では、絵の具の層が薄いため、モデルの像が「幽霊」のように浮かんでくるのみである。

 

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