「勝利の女神」ニケ

ギリシア人は、非常に早くから、「平和」、「幸運」、「復讐」、「正義」といった概念に女神の姿を与えていました。「勝利」は、これらの擬人化の最も古い例の一つです。

「勝利の女神」は、陸上競技から戦争に至るまでの勝利のニュースを地上全域を飛行して伝達できるよう、大きな翼をもった女性の姿をしていました。「勝利の女神」は、メッセンジャー(ギリシア語ではアンゲロス)なのです。時には、トランペットを吹き鳴らして、注意を促します。冠や、細い帯、シュロの葉、武器飾り、船飾りなどの勝利の印を、飛びながら勝利者に運んで行くのです。ひとたび地上に降りると、女神は勝利者が神々に感謝を示して執り行う献酒や、供犠に参加します。

きわめて装飾的な姿をした「勝利の女神」は、早くも前6世紀のアルカイック期から、ギリシア芸術のいたるところに現れます。たとえば、彫像、浮彫り彫刻、壺、貨幣、テラコッタやブロンズ製の小像など、実に多様な図像が存在します。

  1. デロス島の「勝利の女神」、アテネ、考古学博物館

  2. 鐘型クラテル、シシュフォスの画家、前5世紀、パリ、ルーヴル美術館

  3. 首付き赤絵式アンフォラ、「献酒図」の画家、前4世紀、パリ、ルーヴル美術館

  4. デメトリオス・ポリオルケテスが描かれた4ドラクマ銀貨、前3世紀、パリ、フランス国立図書館、メダル保存・陳列室

  5. 勝利の女神」、前2世紀、Myr 165、パリ、ルーヴル美術館

  6. 勝利の女神」、前2世紀、Myr 171、パリ、ルーヴル美術館

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