竜骨(キール)
竜骨(キール)の前方部分を成す長い石の塊は、後ろの部分が少し台座に接しているだけであることが見てとれます。この石塊は、上の層の重量を支えながら、前方が持ち上がった形で平衡を保っています。この力技によって、石の竜骨に、本物の木造船がもつ自然な形とダイナミックな勢いが与えられています。
オールを入れる箱
船のオール(櫂)の収納箱は、船体に沿って張り出して付けられた木製の部分で、オールを支える役目を担っています。この台座にほどこされたオール収納箱は、特に保存状態がよく、外側の壁にある、舷窓(げんそう)という、オールを通す楕円形の開口部が、上下二段にずらして開けられているところまで、識別することができます。
オール用の舷窓(げんそう)
オール(櫂)収納箱の外側の壁には、舷窓(げんそう)という、楕円形の開口部が、上下二段にずらして開けられているのがわかります。ここにオールを通すようになっています。
船首の装飾
サモトラケのニケの船形の台座の舳(へ)先に付いていた船首の装飾もまた、砕けてしまっていますが、当時の貨幣や、浮彫彫刻から、その形を想像することができます。
アンティゴノス・ドーソーンが描かれた4ドラクマ銀貨:アポロンと船首
前227年以降(?)、パリ、フランス国立図書館