ローマ人の「勝利の女神」

ローマ人は、勝利者としてギリシア世界に侵入し、「勝利の女神」像を発見すると、すぐさま、それを自分たちの芸術に採り入れて改変します。すなわち、女神像は、ギリシア世界におけるローマの支配を象徴し、ローマ皇帝の権勢と、ローマ民族の徳を体現するものとなるのです。

勝利の女神は、皇帝に冠を授けたり、ローマ人を賛美する言葉を刻んだ楯を持っていたり、地球儀の上に載ったりした姿で表わされます。しかし、その像は、立ち姿で、胸の高い位置で帯を締め、折返しが腰まで落ちているキトンを身につけているという、標準的なギリシアの表現様式から離れることはありませんでした。

  1. ニケの小像、Br 4792、パリ、ルーヴル美術館
  2. トラヤヌスの記念柱(部分)、紀元113年、ローマ
  3. 古代ローマ時代のランプ(「勝利の女神」)、CP 4409、パリ、ルーヴル美術館
  4. ブレシアの「勝利の女神」、紀元1世紀、ブレシア、サンタ・ジュリア複合古代建造物
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