髪型

モナ・リザの髪型は、一見して判別できるものよりもずっと複雑です。髪を覆っている透明なヴェールは喪のしるしではなく、イタリア・ルネサンス期におけるブルジョア階級の女性たちの一般的な装いです。幾筋かの髪の房を顔の横にたらし、残りの部分は後ろでシニョンに結い上げられています。

モナ・リザの頭部の輪郭と、額のヴェールの縁の線は、単一の線で描き上げられた、この作品におけるきわめて見事な絵画表現の一部をなすものです。

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グアルネッロ

モナ・リザのドレスの全体を覆っているグアルネッロは、透明な絹のヴェールであり、モデルのドレスの身ごろに施された刺繍によって固定されています。より快適な姿勢をとるため、モナ・リザは腕のところでグアルネッロをたくし上げています。そして、その装いの優美さをさらに引き立たせるために、彼女はグアルネッロを左肩の上でまくり、大きなスカーフのような形を作り上げています。

レオナルドは、グラッシの重ね塗り技術によって、この軽やかなヴェールの透明さを存分に描き出すことに成功しています。

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刺繍

モナ・リザのドレスの胸元に見える金の糸の刺繍は、その装いがきわめて洗練されていることを示しています。刺繍は巧みな組紐文様で作り上げられています。組紐文様は、撚り合わされた二本の糸が絡み合いながら連なる円を縁取り、その下にはひし形と十字の模様が交互に配されています。こうして刺繍は、モデルのドレス全体を覆っているグアルネッロを固定しています。

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袖とクルヴェ(切り込み)

モナ・リザの服の袖は、ドレスの他の部分から切り離されています。袖は肩の部分でドレスにつり下げられており、美しく開いた袖の隙間からは、暗い色のドレスの下に着ている膨らみのある白いブラウスがのぞいています。

絵の構図上、袖のひだは背景に見える道の蛇行と共に、一種のアナロジーを生んでいます。

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